二次試験総評+予想される模範解答

10月12日 ソムリエ・ワインエキスパート二次試験が終わりました。
まずは受験生の皆様、お疲れ様でした。合格発表までは試験のことを気にせずにワインを美味しく飲んでください。ここまでの勉強した努力は必ず今後も活きてくるので結果に関わらず、やりきった自分をしっかりと褒めてあげてください。

ソムリエ試験
白1 フランス ソーヴィニヨン 2018
白2 日本 シャルドネ 2016
赤1 イタリア ネッビオーロ 2017
ホワイトポート
ウォッカ

ワインエキスパート
白1 アルゼンチン トロンテス 2019
白2 フランス シャルドネ 2018
赤1 フランス カベルネフラン 2018
赤2 ニュージーランド ピノノワール 2018

ソムリエ試験の方は1つ目がロワールのかなり落ち着いたタイプのSBが出たようですね。なかなか品種特徴香を捉えにくく難しかったのではないでしょうか。また、日本のやや熟成したシャルドネが出たようですね。おそらく樽が強く酸は穏やかで品がないシャルドネ だったことでしょう。ニューワールドのコテコテのシャルドネのコメントをまとめれば大丈夫だと思います。
最後のネッビオーロについてですが多くの人がオレンジ系と捉えられていたようでした。ネッビオーロはタンニンが強く酸が高くアルコールも高く色は淡い品種。そう考えればサンジョベーゼではなくネッビオーロと考えるのは容易だったことではないでしょうか。ただどちらの品種にした場合もコメントは大きく外れないと思います。

さて、ワインエキスパートについてです。
今年はトロンテスが2018年からこの短期間で再び出ました。はっきり言います。ソムリエ協会は何を考えているんでしょうか。普段市場でも一般ではあまり手に入らなく流行でもなく格も低いこの品種を頻回に出す理由が何かあるのでしょうか。これなら2018年、今年ともにゲヴュルツトラミネールを出すか、あるいはずっと騒がれているグリューナーヴェルトリーナーやスペインのアルバニーリョ、少し行き過ぎかもしれませんがギリシャのアシルティコを出題し今後の勉強を促す方が現実的かと思います。今回の出題は本当に解せません。

さて、そのトロンテスですが、2018年のはっきりとゲヴュルツトラミネールを疑うほどライチなどの香りは少なかったようです。酸は高く柑橘類の香りもあったためアロマティック品種のリースリング やソーヴィニヨンブランと間違えた方が多かったようです。これについては多くの受験生が外していると思います。
淡い白系のコメントをまとめていけば7割くらいの得点は見込めるのではないでしょうか。

白2はシャルドネでした。こちらも樽香が少ない、あるいは全くないニュートラル系のシャルドネだったようです。酸も高く、おそらくシャブリだったのではないかと思っています。トーストやバターを感じるとまだあまり知識のない受験生は樽香と捉えてそのコメントをしてしまいがちですが、一般にブルゴーニュのシャルドネはシュールリーをしMLFすることも多いため樽ではなくそれらの因子としてトーストやバターを感じることが多くあります。
ここも淡い白系のコメントをまとめていけばほぼ満点かと思います。逆にここで樽シャルドネと捉え、アプリコットやパイナップル、洋梨、蜂蜜などに飛びついた場合は大きく減点されてしまうかもしれません。

赤1は00年代に1回、10年代に1回、そして7年ぶりに出題されたカベルネフランでした。おそらく色調は濃くピーマン香や樽由来の甘いスパイスを感じるワインだったのではないでしょうか。多くの人がニューワールドのCSやシラーズと間違えています。
ここでのポイントはピーマン香、すなわちピラジンですね。これを捉えられた方はCSと答えているのではないでしょうか。また酸も高かったようでそのためにローヌのシラーと回答している方もいます。
どちらの場合も基本的には濃い赤系コメントをまとめていくとほとんど答えを拾えるのではないでしょうか。

赤4 ここはサービス問題です。色素がかなり淡かったようでガメイやMBAと回答した方も多かったようですが、淡い赤系のコメントをしていれば問題ありません。ただし、それらの品種の場合品種特徴香であるイチゴに飛びついてしまっている可能性がありますがそちらは答えにはなりにくいかと思います。
ただかなりチャーミングなピノノワールであった場合は答えになる可能性があります。

総じて、香りの果実花植物から4−5つ、芳香香辛料化学物質から4つだったようです。少ないですね。タイプ別コメントを優先して書いておけばほぼコメントは拾えたような気がします。
今回、腕時計を含め時計の持ち込みが禁止となったようですが、どのような意図なのでしょうか。理解に苦しみます。特にマークシートの試験は分単位でのタイムマネージメントを行うことが一番ケアレスミスを防ぐことができ合格に近づけると思います。
ソムリエ協会は本当に一体何をしたいのか、まったくもって理解できません。

それでは軽い模範解答を用意しておきます。

白1 トロンテス アルゼンチン
外観:
澄んだ輝きのあるグリーンがかったレモンイエロー
濃淡は淡く粘性はやや強い
外観の印象は若々しく成熟度高い
香り:
開いている、華やかな
洋梨、花梨、白桃、マスカット(トロンテスかはっきりとしない状況での回答です。)
石灰、香木、硫黄、麝香
香りの印象は若々しく、第一アロマが強い
味わい:
アタックやや強い
甘みまろやかな
酸味爽やかな
苦味穏やかな
バランス溌剌とした
アルコールやや強め
余韻やや長い
評価:
シンプルフレッシュ感を楽しむ
8−10度
グラスは中庸
収穫年2019
アルゼンチン トロンテス

白2 シャルドネ フランス
外観:
澄んだ輝きのあるグリーンがかったレモンイエロー
濃淡は淡く粘性はやや強い
外観の印象は若々しく成熟度高い
香り:
開いている、華やかな
柑橘類、あおりんご、りんご、すいかずら
石灰、貝殻、火打ち石、硫黄(コリアンダー、鉱物)
香りの印象は若々しく、第一アロマが強い
味わい:
アタックやや強い
甘みまろやかな
酸味爽やかな
苦味穏やかな
バランス溌剌とした
アルコール中程度orやや強め
余韻やや長い
評価:
エレガントでミネラリーorシンプルフレッシュ感を楽しむ
8−10度
グラスは中庸
収穫年2018
シャルドネ フランス

赤1 カベルネフラン フランス
外観:
澄んだor深みのある輝きのある紫がかったダークチェリーレッド
濃淡はやや濃いor濃い
粘性はやや強い
外観の印象は若々しく成熟度高い
香り:
開いている、華やかな
カシス、ブラックベリー、ブルーベリー、ブラックチェリー、牡丹(すみれ、ピーマン、針葉樹、メントール)
シナモン、ナツメグ、甘草、丁子(樹脂)
香りの印象は第一アロマが強い、木樽からのニュアンス
味わい:
アタックやや強い
甘みまろやかな
酸味なめらかな
タンニン緻密
バランス骨格のしっかりとしたor力強い
アルコールやや強め
余韻やや長い
評価:
成熟度が高く豊か
17−20度
グラスは中庸
収穫年2018
フランス カベルネフラン

赤2 ピノノワール ニュージーランド
外観:
澄んだ輝きのある紫がかったラズベリーレッド
濃淡はやや濃い
粘性はやや強い
外観の印象は若々しく成熟度高い
香り:
開いている、華やかな
ラズベリー、ブルーベリー、牡丹、すみれ、ゼラニウム
シナモン、ナツメグ、甘草、丁子(樹脂)
香りの印象は第一アロマが強い、木樽からのニュアンス
味わい:
アタックやや強い
甘みまろやかな
酸味爽やかなor生き生きとした
タンニン緻密
バランス流れるような
アルコールやや強め
余韻やや長い
評価:
成熟度が高く豊か
17−20度
グラスは中庸
収穫年2018
ニュージーランド ピノノワール

このような回答をおそらく本番ではするのではないでしょうか。あくまで参考ですので模範解答が発表されるのを待ちましょう。

それでは皆様本当にお疲れ様でした。
来年以降も二次試験対策講座は行いますので来年受験を目指している方などは是非ともご連絡お願いします。
今年の受験生の体験記も後ほど載せますので参考にしていただければと思います。

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